元茹でガエルなエンジニアの記録

ちょっとやってみたことや考えたことなどを不定期に書き残していきます

アジャイルソフトウェア開発宣言をかみくだく

アジャイルソフトウエア開発宣言は短い文章で完結に表現したがゆえに、ともすると誤った理解につながるため、自分なりに補足したメモ。

原文

日本語

私たちは、ソフトウェア開発の実践あるいは実践を手助けをする活動を通じて、
よりよい開発方法を見つけだそうとしている。この活動を通して、私たちは
以下の価値に至った。

プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、

価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを認めながらも、
私たちは右記のことがらにより価値をおく。

Kent Beck,Mike Beedle,Arie van Bennekum,Alistair Cockburn,
Ward Cunningham,Martin Fowler,James Grenning,Jim Highsmith,
Andrew Hunt,Ron Jeffries,Jon Kern,Brian Marick,Robert C. Martin,
Steve Mellor,Ken Schwaber,Jeff Sutherland,Dave Thomas
© 2001, 上記の著者たち
この宣言は、この注意書きも含めた形で全文を含めることを条件に自由にコピーしてよい。

英語

We are uncovering better ways of developing
software by doing it and helping others do it.
Through this work we have come to value:

Individuals and interactions over processes and tools
Working software over comprehensive documentation
Customer collaboration over contract negotiation
Responding to change over following a plan

That is, while there is value in the items on
the right, we value the items on the left more.

Kent Beck,Mike Beedle,Arie van Bennekum,Alistair Cockburn,Ward Cunningham,Martin Fowler,James Grenning,Jim Highsmith,Andrew Hunt,Ron Jeffries,Jon Kern,Brian Marick,Robert C. Martin,Steve Mellor,Ken Schwaber,Jeff Sutherland,Dave Thomas

© 2001, the above authors
this declaration may be freely copied in any form,
but only in its entirety through this notice.

 

かみ砕いてみた

個人的に気になるのが、より価値をおくことがらの4行の部分。

Individuals and interactions over processes and tools

『個人と対話を』となっているが、withではなくandなので、individuals との interactionではなく、〜およびとか〜というニュアンス。interactionも対話というより、(対話も含む)交流とか相互作用とかのほうがしっくりくる。

Working software over comprehensive documentation

『動くソフトウェア』という訳について、誤解してしまいそうだが、executableとかrunningではなく、workingなソフトウェアです。なので、きちんと動く、機能するという意味合いが含まれていると思います。イテレーションの途中では、『なんとなく』動く、『とりあえず』動くソフトウェアで確認をしつつも、イテレーションの成果物としてはきっちりと『working』ソフトウェアに仕上げるということだと、思っています。

 

というわけで、“アジャイル開発では、とりあえずでいいから動くものをどんどん作って、品質は後回し”、という誤解(私の周りにはそう思っている人がいる)は、日本語版の訳から生まれているかも、という話。