仕事で中国に行ったときの記憶に残ったことのひとつがシェアサイクルです。アメリカに行ったときはUberに衝撃を受けましたが、中国ではMobike(中国のシェアサイクルのひとつ)に衝撃を受けました。
シェアサイクルブーム
2017年現在、中国ではシェアサイクルが大ブームになっています。
何かというと、自転車のシェアです。厳密にはレンタルなのですが、レンタルもシェアの一形態と捉えることが最近の流れのようです。つまり、企業の所有する自転車を、ユーザみんなでシェアして使う、ということです。
北京市内で、みんな似たような自転車に乗っているなーっと思っていたら、全部シェアサイクルでした。
日本にもレンタサイクルはありますが、決定的な違いは、「どこに駐めてもよくて、どこでも借りられる」ということです。借りるときは、街中に駐めてある自転車をスマホアプリを使って利用開始でき、乗り終わったときは、そこに乗り捨てるだけです。自転車を駐めて、ロックをかけると利用時間単位で課金される仕組みになっています。
写真手前がMobike(モバイク)の自転車。オレンジ色が特徴。他にも、黄色いofo(オーフォ、写真奥)など複数の企業が熾烈な争いを繰り広げている。
Mobikeの特徴
Mobikeは、そのサービスの作り込みが凄いです。自転車にはGPSとSIM付きの通信モジュールが搭載されていて、スマホアプリで付近の空き自転車を探すことが出来るようになっています。料金の支払いも全てスマホアプリ上で完結します。現金なんて使いません。そもそも中国では、日本なんかよりずっーとスマホ決済が浸透していて、みんな普通にWeChatアプリ(LINEみたいなもの)とかでレストランの支払いをしていました←この時点で驚愕
自転車にはQRコードがついていて、 アプリで読み込むことでロックが外れて利用出来るようになります。
GPSやら通信機能なんて、電源はどうしてるの?と気になるところですよね。なんと、前カゴの底面が太陽光発電パネルになっていて、ハブダイナモとそこから充電としているそうです。ぬかりないです。
メンテナンスフリーで運用できるように、チューブレスタイヤを履いていますので、パンクもしにくいです。
各社がサービス展開している中で、Mobikeの自転車は『壊れていない』事が多く、評判が良いようです。
中国で起きたこと
シェアサイクルが広まると、自転車に乗る人が増えて駅前とかが自転車だらけになるんじゃないの?という疑問があります。これは諸説あるようですが、増えていない、むしろ減った、という考えもあるようです。
どういうことかというと、仕事で駅まで自転車で行って駐める場合だと、その人が仕事が終わって帰ってくるまで自転車は駐めっぱなしなわけです。ところが、シェアサイクルが当たり前の社会だと、この間に他の人が乗ることになるので、駐めっぱなしの自転車が減るわけです。
仮にシェアサイクルの登場によって、自転車で移動する人の総数が増えたとしても(おそらく増えたのだと思います)、誰かが乗って動いているアクティブな自転車がこれまでよりも増えるので、結果として駐輪されている自転車は減る、という理屈です。
なるほど、それは有り得る話だと思います。
実際のところは誰もきちんと計測していないので、分からないということのようですが、、、。
あと、ある地点に偏った自転車を移動して分散させるという新しい仕事が出来たようです。ある意味、雇用の創出です。面白いですね。
日本における展開
さて、日本でも、北海道でこのMobikeがサービスインしたり、大阪ではofoがサービス開始するようですね。
このシェアサイクルというサービスは、いかに広く細かく分布して配置できるか、がキモになると思います。つまり、『乗りたいときに近くに乗れる自転車がある』という状況をどれだけつくることができるか、です。
日本ではなかなか中国のように『どこでも乗り捨て』の形態は実現できないと思うので、駐輪場所をどれだけ確保できるか、が成否を分けるのではないでしょうか。駐輪場所としてはコンビニなどが思い付きますが、コンビニ側にもメリットが無いと難しいので、場所を提供する側のメリットまで含めてサービスを設計する必要がありそうです。